食品偽装が問題となっている昨今、食べ物の産地にこだわる人が増えています。では、畳はどうでしょう？「え？畳って全部、国産じゃないの？」
「ホームセンターで安く買ったけど、国産って書いてあったから大丈夫！」
という声が聞こえてきそうですが、実は注意が必要です。
まずは、畳の原料であるイ草、国産は僅か２割です。
さらに、畳に記された“国産”という表示にも注意が必要です。
例えば、
イ草が中国産だったとしても、
最終加工地（畳に仕上げる作業）が日本であれば“国産”という表示が可能だからです。
それでは、
①国産と中国産のイ草の違い
②国産イ草を使った畳を選ぶには？
について、もう少し詳しくご説明します！
『国産イ草、市場の僅か2割！』
畳の表面をくるむ畳表の原料・イ草。実は、このイ草の大半が中国産であることをご存じでしょうか？
その割合は、なんと約８割！つまり、家庭に敷かれている畳の多くが、中国産のイ草を使用されているということになります。
『国産と中国産の違い』
断面拡大図を見ると一目瞭然ですが、中国産は密度が低くスカスカ。つまり、耐久性・クッション性の面で大きな差がでると考えられます。
▲国産イ草の断面図
▲中国産イ草の断面図
『中国産イ草でくしゃみや手荒れ！？』
知り合いの畳屋さんからこのような話を聞いたことがあります。
「中国産の畳表を使って製畳をしていたら、くしゃみや鼻水がとまらなくなり、さらには手のひらが荒れてしまった…」。
このような現象が起こる理由として考えられるのが、輸出の際に噴霧される防カビ・防虫の薬品です。
裸足で歩いたり、寝転んだり、時には赤ちゃんが舐めることもある畳。私が国産イ草にこだわる理由、少しお分かりいただけたでしょうか？
『国産のなかでも、厳選した八代産イ草を採用しています』
「たたみの福田」では、国産のイ草、さらに言えば国産のなかでも品質の高い熊本県八代産を厳選しています。
『産地に足を運び、イ草農家さんの思いをくみ取る』
私は、年に3回はイ草の産地・八代に足を運びます。
というのも、野菜や米と同じように、イ草も年によって出来が異なるから（イ草の栽培はとても難しいとされています！）。
去年は良くても今年は…、ということも多くあるため、産地に出向き自分の目で品質を確認します。
そしてもうひとつ、イ草農家さんと交流するという目的もあります。
八代市のイ草農家は平成元年から僅か10年で1/6まで減少し、これからはさらに減少していくと予測されます。
私たち畳屋の仕事は、イ草農家さんあってこそ・・
どのような思いで生産をしているのか、どのような問題を抱えているのか。畳屋である私は、イ草農家さんと一緒に歩んでいきたいと思っています。
《イ草農家 草野さん》
「たたみの福田」で使用している畳表のなかでも、特に自信をもって提供できるのが草野さんのイ草。草野さんはイ草農家歴30年で、「せとなみ」と呼ばれる在来種を主に栽培されています。
「せとなみ」は茎が太く丈夫である点が魅力ですが、色むらが出やすいために栽培が難しいとされます。
草野さんは、丁寧な仕事ぶりや経験から、毎年安定した品質の畳表を提供されています。
ひとつ難点があるとすれば、人気農家さんのため商品を確保するのに一苦労することでしょうか（笑）。
作るイ草はもちろんですが、草野さんの魅力は人柄にもあります。
八代弁で話す柔らかな印象の草野さんですが、イ草に対する思いは一際熱く、いつも感心させられます。
いかに高い品質を安定して提供できるか？ということはもちろん、新しい品種の栽培にチャレンジする探究心も忘れていません。
「たたみの福田」が国産イ草にこだわる理由、ご理解いただけましたでしょうか？もちろん、中国産イ草の方が安く、簡単に手に入ります。しかし、私の作る畳で、お客様の健康や安全を脅かすことはしたくありません。
最後に、「国産イ草を使った畳を選ぶにはどうしたらいいか？」ですが、
それは“消費者が正しい知識をもち、信頼できる畳屋を選ぶこと”です。
「たたみの福田」は、長崎県・佐賀エリアを中心に仕事をしていますが、その範囲外の場合であってもお気軽にご相談ください。私が自信をもってご案内できる畳屋をご紹介できるかもしれません。
